肝硬変の食事療法

栄養状態の評価

 

・タンパク質とエネルギー低下に伴う低栄養状態が特徴的です。

 

・静的評価にはBMI、血清アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ値を用い、
動的評価には、フィッシャー比、BTR(分岐鎖アミノ酸・チロシン比)、
安静時エネルギー消費量、呼吸商を用います。

 

栄養療法

 

肝硬変の栄養療法のガイドラインとしては、
日本病態栄養学界から肝硬変患者の栄養基準が提唱されています。

 

・C型肝炎や鉄過剰を伴う肝硬変の患者さんは、
鉄制限食が必要です。

 

・チャイルド・ピュー分類のグレードB/Cの肝硬変患者さんの場合は、
健康者が3日間絶食した状態に相当するエネルギー代謝異常があるため、
夜間就寝中の飢餓状態緩和のための睡眠前軽食が必要です。

 

・フィッシャー比低下の結果より、
アルブミン合成低下をきたし、血清アルブミン値が低下します(3.5g/dL以下)。
改善のためには、BCAA製剤顆粒や肝不全経腸栄養剤を経口投与することが必要です。

 

・亜鉛の吸収低下、尿中排泄は、
高アンモニア血漿やフィッシャー比の低下の一因になります。
亜鉛補充療法が必要か否かを判断することが必要です。

 

肝硬変患者の栄養基準ガイドライン

 

・エネルギー必要量

 

エネルギー必要量は、栄養所要量(生活活動強度別)を目安にする。

 

* 生活活動強度別とは
 健康栄養情報研究所の、日本人の栄養所要量−食事摂取基準を参考にします。

 

耐糖能異常がある場合は、25〜30kcal/kg(標準体重)/1日とする。

 

・タンパク質必要量

 

タンパク不耐症(肝性脳症)がない場合は、
1.0〜1.5g/kg・1日とする。

 

* タンパク不耐症(肝性脳症)がない場合について
 血清アルブミン値3.5g/dL以下、フィッシャー比1.8以下、BTR3.0以下の場合では、
BCAA製剤顆粒を投与する場合があります。

 

タンパク不耐症がある場合は、
低たんぱく質(0.5〜0.7kg/kg/日)+肝不全用経腸栄養剤で栄養を補う。

 

・脂質必要量

 

エネルギー比: 20〜25%とする。

 

・食塩

 

腹水・浮腫(既往歴も含む)がある場合は、5〜7g/日とする。

 

・分割食は一日4〜6回、或いは睡眠前軽食として約200kcal相当とする。

 

* 睡眠前軽食について
 肥満の患者さんで、睡眠前軽食を給与する場合は、
一日の食事量を変化させないか、減量しなければなりません。
 痩せている患者さんの場合は、睡眠前軽食も含め、
一日に食事総量の増加を検討します。
 また、睡眠前軽食などは、バランス食であることが望ましいとされます。