肝硬変の症状と合併症

肝硬変は、代償期では無症状で経過することが多いです。

 

肝硬変が進行すると、全身倦怠感、食欲不振、微熱、腹部膨満、下肢こむら返り、
吐血、下血等の自覚症状が見られ、さらに進行すると、黄疸、腹水貯留、
肝性脳症などの肝不全症状や合併症がみられます。

 

肝硬変の非代償期にみられる症状

 

黄疸、食道・胃静脈瘤、肝左葉腫大・右葉萎縮、腹壁静脈怒張、
手掌紅斑(しゅしょうこうはん)、皮下出血、意識障害、肝性口臭、
クモ状血管腫瘍、女性化乳房、脾腫、腹水貯留、羽ばたき振戦、
痔核、浮腫

 

肝性脳症

 

肝性脳症は、肝機能低下によるアンモニア上昇によって起こります。

 

アンモニアには神経毒性があるのですが、
神経細胞のエネルギー産生の低下、神経伝達物質の低下、
脳血液関門を容易に通過してしまいます。
そのため、脳浮腫が起こります。

 

肝性脳症が持続すると、脳の血流量や代謝が低下します。

 

意識障害などの精神症状、羽ばたき振戦、多幸気分、異常行動、せん妄などの神経学的変化、
不随意運動、ミオクローヌスなどの症状がみられるようになり、
やがて昏睡に至ります。

肝硬変の症状と合併症

黄疸の原因・誘因・メカニズム

 

黄疸は、以下の(1)〜(3)の過程に障害が生じると生じます。

 

黄疸は、基準値である血清総ビリルビン値が2mg/dL以上蓄積し、
皮膚や粘膜、眼球結膜に黄疸を認める状態です。

 

(1) 脾臓で老化赤血球が破壊され、間接ビリルビンが生成される。

 

(2) 間接ビリルビンは、肝臓でグルクロン酸抱合を受けて、直接ビリルビンになる。

 

(3) 直接ビリルビンは、胆汁成分になり、十二指腸に排泄される。

 

(4) 直接ビリルビンは、腸内細菌によってウロビリノーゲンからステルコビリノーゲンとなり、
   便の着色成分として排泄されます。

 

(5) ウロビリノーゲンは一部、小腸で再吸収され、
   尿の着色成分として排泄されます。

 

肝機能が低下すると、グルウロン酸抱合ができなくなります。

 

また、肝線維化によって胆汁排泄における肝内閉塞があり、
間接ビリルビン、直接ビリルビンの両方の値が高くなります。

 

浮腫の原因・誘因・メカニズム

 

(1) 肝機能の低下によってアルブミン合成が低下し、
   血漿膠質浸透圧が低下します。

 

(2) 血管内水分の漏出が増加し、浮腫が起こります。

 

腹水の原因・誘因・メカニズム

 

(1) 門脈圧亢進により肝血流が阻害され、
   血漿中の水分が腹腔内に漏出します。

 

(2) リンパ液も腹腔内に漏出し、腹水が貯留します。

 

* 腹水の貯留は、循環血液量の減少を引き起こし、
 抗利尿ホルモン・アルドステロンの分泌を促進し、
 水・ナトリウムの貯留が起こり浮腫となります。

 

全身倦怠感が起きる原因・誘因・メカニズム

 

・グリコーゲンの合成・分解・貯蔵機能低下による低栄養

 

・ストレス

 

・食欲不振

 

食欲不振になる原因・誘因・メカニズム

 

・コレステロール合成低下は胆汁酸合成の低下につながります。
胆汁産生の低下脂質代謝異常になるので、吐き気や食欲不振になります。

 

・ストレス

 

・全身倦怠感

 

腹痛が起きる原因・誘因・メカニズム

 

・肝腫大による肝被膜の緊張・伸展による疼痛

 

・右肩、肝臓背部に関連痛があります。

 

食道静脈瘤が起きる原因・誘因・メカニズム

 

・門脈圧の亢進により、体循環系と門脈が近接する部分に静脈瘤が出来やすくなります。

 

・胃噴門部と肛門に発症しやすいです。

 

・出血するまでは無症状ですが、内視鏡検査で発見されることが多いです。

 

肝性脳症が起きる原因・誘因・メカニズム

 

(1) タンパク質代謝の結果生じるアンモニアは、
   尿素回路によって処理され排泄されます。
    しかし、肝機能が低下することにより尿素回路がスムーズに働かず、
   血中アンモニア濃度が高くなります。
    結果、アンモニアが血液脳関門を通過し、脳に直接作用し、肝性脳症が起こります。

 

(2) 肝機能が低下することによって、アミノ酸を用い、筋肉でエネルギーを産生します。
    この過程で生じたアンモニアが、分岐鎖アミノ酸によって処理されますが、
   アンモニア処理に使われにくい芳香族アミノ酸が増え、
   脳内で偽性の神経伝達物質に代謝され、その物質が脳内の神経伝達を抑制します。