肝硬変の対症療法

黄疸

 

・黄疸軽減のための治療法の支援

 

安静療法: 血流増加による肝臓組織の修復・回復の促進を図ります。

 

食事療法: 肝機能障害に応じたエネルギー・糖質・タンパク質・ビタミンの摂取を促します。

 

・黄疸に伴う苦痛の緩和

 

便秘: 胆汁酸が不足することにより脂肪の消化・吸収が悪く、
   便塊が硬く通過しにくくなり、便秘がちになります。

 

    排便習慣と水分をよく摂取し
   便・尿によってビリルビンの排泄を促すようにします。

 

掻痒感(そうようかん):

 

 掻痒感は、血中の胆汁酸が皮膚の末梢神経を刺激することにより起こります。
ですから、以下の(1)〜(6)を行い症状を緩和させます。

 

(1) アルカリ性の薬物で緩和します。
    ヒスタミンやコリンを含む食事は避けます。

 

(2) 吸湿性のある柔らかい衣服を着用し、身体を締め付けません。

 

(3) 部屋の室温を調整します。

 

(4) かゆみがひどいときは、冷罨法を行います。

 

(5) 皮膚の乾燥を防ぎます。

 

(6) 爪を切り、?くのではなく、たたくようにします。

 

・感染、合併症の予防

 

皮膚や粘膜をかきむしってしまうことにより、傷ができ、二次感染の原因となります。

 

また出血の原因になるので、感染、合併症の予防をします。

 

グロブリンの産生低下による免疫機能低下がありますから、
感染の予防は重要です。

 

腹水

 

・腹水を軽減するための対症療法

 

食事療法: 塩分・水分の制限、肝機能障害に応じた高タンパク食とします。

 

抗利用薬: 水分出納・血糖電解質データの変動に応じた抗利尿薬を用います。

 

・腹水に伴う苦痛を緩和するための対症療法

 

患者さんにとって、最も安楽な体位をとってもらうようにします。

 

呼吸困難がある場合は、ファーラー位としますが、
肝血流量が低下してしまい、浮腫の増強を招くこともあるため、
その場合は臥床とします。

 

いずれにしても、同一体位を持続することは避けます。

 

感染、合併症

 

皮膚粘膜が薄くなり傷つきやすくなります。

 

また、抵抗力も低下し、感染のリスクも高まります。

 

全身清拭をして清潔を保つこと、皮膚の観察をすることが必要です。

 

また、体動が難しくなるので、同一体位を取ることが多くなり、
褥瘡や肺炎が発生してしまうこともあります。

 

体重、腹囲、尿量、便通、浮腫の程度を定期的に観察し、
異常の早期発見に務めるようにします。

 

全身倦怠感

 

食後の安静は、肝血流量を増加させ、肝機能の回復を早めます。

 

ストレスを緩和するようにします。

 

食欲不振

 

食事摂取状況を観察し、食欲不振につながる原因がないか確認します。

 

脂質の多い食事や刺激物は避け、消化のよいものを食べるように進め、
1回の食事量を減らし、回数を多くとるようにします。

 

腹痛

 

腹痛がある場合は、痛みの程度や持続時間を観察します。

 

腹痛のあるときは安楽な体位を取ってもらい、安静にしてもらいます。

 

また、場合に応じて鎮痛薬を投与します。

 

 

食道静脈瘤破裂予防

 

排便時や咳嗽時、荷物の運搬時など、恕責を避けるようにします。

 

静脈瘤を刺激する危険性のある食べ物の嚥下や摂取を避け、
よく咀嚼して食べるようにします。

 

逆流性食道炎防止のため、禁煙、肥満防止のための減量、
就寝時ファーラー位、節酒などを行ないます。

 

また、出血の早期発見も必要です。

 

黒色便やめまい、冷や汗、吐き気など、消化管出血による症状を観察します。

 

緊急時の医療機関への連絡方法も徹底しておきます。

 

食道静脈瘤破裂時の看護ケア

 

食道静脈瘤破裂時の看護ケアでは、全身の状態を観察することが重要です。

 

食道静脈瘤が破裂した場合は、出血が多量になります。

 

内視鏡的治療が難しい場合は、SBチューブが挿入されますが、
このSBチューブは一時的な治療で
患者さんの状態が落ち着き次第、速やかにチューブを抜去し、
EIS,もしくはEVLを行ないます。

 

出血に伴い、血圧の低下、頻脈、頻呼吸、冷汗などのショック症状や、
肝不全に伴う黄疸の増強、意識レベルの低下などの症状、
吐き気や吐血、下血等の消化器症状を観察し、全身の状態を把握します。

 

*SBチューブ挿入時の看護

 

食道バルーンの指示圧を確認し、チューブ挿入の長さに変化がないかを確認します。

 

粘膜の虚血性障害防止のため、6時間ごとに食道バルーンで圧迫されている部位の
粘膜血流回復のために5〜10分間気脱します。

 

肝性脳症の看護ケア

 

意識症状や行動の変化を観察します。

 

また、転倒や転落等の安全に向けての環境整備、
タンパク質摂取量、便秘、脱水等の肝機能を悪化させる要因の観察、
皮膚や粘膜保護、口腔内清掃など、感染予防を行ないます。